10年の月日がたった・・・
長い間、男声合唱の世界を引っ張ってこられた、「協ちゃん」こと北村協一先生。
先生が天国に旅立たれたのは、2006年3月13日の深夜でした。
その日から、今日で10年が経過しました。
私が先生の指揮で初めて歌ったのは、22年前、大学を卒業してから参加した「アラウンド・シンガーズ」でのことでした。
それから同じ舞台に立つこと8回。大学時代から先生と向き合って来られた多くの先輩方に比べると場数こそ少ないですが、どのステージも強く記憶に残っています。
思い出深いのは、1996年にアラウンドで歌った間宮芳夫の「合唱のためのコンポジション 第3番」。あの曲でオーディションを受け、Soliに採用していただいたことで気に留められた方が多く現れ、その後、今まで歌い続けることができるきっかけになりました。
先生、少ない機会でしたが、出会えたことに感謝しています。
時間と力の許す限り、これからも歌い続けていきますので、温かく見守っててください。近いうちに、五月山にご挨拶に伺います。
ロマン派音楽との真剣勝負 ~Kammerchor Hiroshima Kantorei 第2回定期演奏会~
聖ヴァレンタイン・ディに引き続き、2週間ぶりに広島・流川教会で歌ってきました。
写真は会場設営前のもの。祭壇や演台などが撤去されて、ここを舞台にして歌いました。
この教会は2013年頃にリニューアルされましたが、歴史は長く、実は十字架には、71年前に被爆したときのこの教会の建材が使用されています。また写真にはありませんが、その当時の鐘も礼拝堂の片隅に設置されています。
この教会で今回催したのは、Kammerchor Hiroshima Kantoreiの2回目の演奏会でした。
2014年1月に、ロマン派をメインに取り組む合唱団として立ち上がった同団。
2015年2月に最初の演奏会を開催。その後、広島県合唱コンクールへのデビューを経て、今回、2回目の演奏会開催となりました。
合唱団立ち上げの趣旨を貫いて、今回の演奏会もロマン派の曲で固めたプログラム。
流川教会の響きの良さにも助けられ、細かい傷はあったものの全体としてはいい演奏会だったと振り返ることができそうな感覚を持って終演しました。
一夜明けて、新たなスタートです。
もっといい音楽を奏でられるよう、取り組む課題は一杯あります。
ロマン派音楽との真剣勝負、まだまだこれからも続きます。
つい感情移入してしまう曲 ~ Men's Vocal Ensemble "寺漢" 第5回定期演奏会を振り返る②
今回のMen's Vocal Ensemble"寺漢"の演奏会の最後に採り上げた曲は、私にとって数少ない、歌いながらつい感情移入してしまう曲でした。
宮沢賢治の詩に鈴木憲雄さんが曲を付けた「永訣の朝」。
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私には、3歳違いの妹がいました。
しかし、母親の体から出てきた時に窒息状態になっており、必死の手当ての甲斐もなく、この世の中に出てほんの一瞬であちらの世界に旅立ってしまいました。
私がその事実を知ったのは、10歳を過ぎた頃のことでした。
賢治と妹との別れとは、ずいぶんと場面が異なりますが、私と妹の別れが同じような状況で訪れたとしたら・・・。この曲を歌うときは、そんな思いを抱いています。
初めて歌ったとき(寺漢ではなく、関西の男声合唱団でのことでした)もそうでしたし、今回寺漢で歌った時もそうでした。
今回の演奏会では、自分の妹以外にもう一人、歌いながら顔を思い出していた人がいました。大学時代、合唱を通じて知り合った学年が一つ下の女性です。先月、数年間続いた病との闘いの末に亡くなられたことを、SNSを通じて知りました。
闘病していたのは、福山。早く知っていれば、お見舞いにも行かれたのに・・・。
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そういえば、演奏会の直前に、コンマス氏が、自身が声楽家から受けたレッスンでの教えとして、詩や曲の世界に自分が入り込んではいけない、という趣旨を言われていたのを思い出しました。感情移入するのではなく、少し引いた視点から詩や曲の世界を描写する姿勢で臨むべきなのだそうです。やはりwarm heartだけではなく、cool headも必要なんですね。
未知の音楽との出会い ~ Men's Vocal Ensemble "寺漢" 第5回定期演奏会を振り返る①
2016年のヴァレンタイン・ディは、今年初めての本番でした。
広島 流川教会でのMen's Vocal Ensemble "寺漢" 第5回定期演奏会。
130人あまりのお客様にご来場いただき、無事に終演しました。
創立時の方針として、一般の男声合唱団の定番である、多田武彦作品やSpiritualsなどは採り上げません。
そのため、演奏会の度に、「こんな音楽があったのか」と思う出会いがあります。
特にキリスト教音楽。
今回は、中世イングランドの典礼音楽と現代作曲家のアヴェ・マリアを中心にしたステージを設けました。
その中で初めて出会ったのが、ソールズベリー聖歌。単旋律聖歌はすべてグレゴリオ聖歌だと思っていた私。しかし、東方・西方各地で、イングランドのソールズベリー聖歌と同様に、様々な聖歌があったようです。
今後は、そうした聖歌を取り扱うようになるのかな。
演奏会のアンケートを読むと、宗教音楽はお好みではないお客様も少なからずおられるようですが、これも寺漢の活動の軸の一つ。私たちも新たな出会いを楽しみながら、演奏を通じて知っていただく機会を作っていきたいと思います(まぁ、選曲するのは私ではないのですが・・・。)
大事なのは、聴いた後
セミナーフリークとか、セミナーマニアなどといった言葉を時々耳にします。
本来の意味はよくわかりませんが、私が聞いたのは、積極的にセミナーに足を運んでいるが、結果が伴っていない、という文脈でした。
仕事でのスキルアップ、自己啓発のためのセミナーのみならず、合唱においても、同じ事態に陥る可能性はありますよね。
合唱連盟や、合唱指導の第一線の方が主催する講習があちこちで開かれています。
私も、これまでに何度もそうした機会に足を運んでいるのですが、そこで受けた指導が、その後の自分の歌に生かされているか、というと、疑問符を付けざるを得ません。
「この人の話を聴いた」という時点で満足してしまってるんですね。改めなければいけません。
先日、所属している合唱団のひとつ、Kammerchor Hiroshima Kantoreiで、本山秀毅先生をお招きして指導を受ける機会がありました。
本山先生と顔を合わせるのは、この合唱団では2度目、他の合唱団や大阪での「21世紀の第九」も合わせればだいたい7度目くらいになります。
指導の前半では、発声や発音に関する指導にしっかりと時間を割いてくださいます。
しかも、本来なら長年歌ってれば身についているべき事項。基本が大事だと頭でわかっていながら実践できていないことに気づき、ハッとすることの連続でした。
その基本的事項の中で、今後自分自身でも意識してチェックしていこうと思ったことを、この週末の練習から取り組んでまいります。
まずは2月に向け始動
前回の更新から1か月近くが過ぎています。
2016年の歌の活動、先週末から開始しています。
まずは、2月に予定されている2つの本番に向けて準備中です。
ここでは再掲になりますが、改めてお知らせいたします。
広島エリアにおられる方(またはこの時期に広島にお越しの予定がある方)、是非ご来場ください。
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【Men's Vocal Ensemble“寺漢” 第5回定期演奏会】
指揮:寺沢 希
■2016年2月14日(日)16時開演 [15時30分開場]
■日本基督教団広島流川教会
■チケット: 900円
◆男声合唱による宗教音楽の系譜 Vol.4
~中世イングランドの典礼音楽と現代作曲家のアヴェ・マリアを中心に~
オルガン 佐々木 悠、パーカッション 寺田 葉月、サックス 増田 結子
◆ソプラノ独唱(重唱)、1人のアクター、男声合唱とパーカッションのためのシアターピース“キリシタン残照”<完結編>
パーカッション 田中誠之
◆鈴木憲夫 / 永訣の朝
ピアノ 山下 雅靖
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【Kammerchor "Hiroshima Kantorei"第2回 定期演奏会】
■2016年2月27日(土) 16:30開場/17:00開演
■日本基督教団 広島流川教会
■全席自由 1,200円(前売 1,000円)
◆ラフマニノフ「徹夜祷」(op.37)より
◆メンデルスゾーンの宗教作品を集めて
『3つの詩編』(op.78)より
『3つの教会作品』(op.23)より
「われらに平安をあたえたまえ」
独 唱:佐々木有紀(A)、田尻 健(T)
オルガン:佐々木 悠
指 揮:寺沢 希
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2015年の歌い納め
2015年も残すところあと10日あまりとなりました。
中には、年末ぎりぎりまで歌の出番がある方もおられるでしょう。
私は、12月20日で、今年オンステする本番がすべて終わりました。
歌い納めの舞台となったのは、昨年と同じく、徳山カトリック教会でのチャリティコンサートでした。
毎年、ヘンデル「メサイア」を中心にしたプログラムで構成されるこの演奏会。
今年は、2年に1度の、管弦楽付の演奏で、一部抜粋しただけの、ほぼ全曲演奏。
私自身、この演奏会へのオンステは今回で5回目。だいぶ歌い慣れた曲もある一方、5回も歌っておきながらまだまだ歌いこなせてないな、と感じる曲もあります。
この演奏会が開かれるのは、いつも11月か12月。ちょうど毎年の歌い納めに近い位置づけになります。
この演奏会に向けてほかの出番を重ねていく、という考えは持っていませんが、自分の歌い方がどうなってるかを自分なりに評価する良い機会となっています。
1年後、今回より質を上げた「メサイア」を歌えるよう、一つ一つの舞台、そして一つ一つの曲に心から向き合っていきます。